〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル2B >> MAP
Phone : 03-5542-1669
Open : Tue.-Sat. 12:00-19:00 日曜・月曜・祭日 休廊 Closed on Sun., Mon., National Holiday
Koura Bldg. Ⅰ-2B, 1-1-6, Nihombashi Kayabacho, Chuoh-ku, Tokyo 103-0025, JAPAN
phone : +81(0)3 5542 1669 e-mail : info@yuki-sis.com http://yuki-sis.com
Solo Exhibition by Sho Tanaka – Travelling Tree -
田中 彰 個展 -旅する木-
YUKI-SIS では、2018年5月22日(火)-6月2日(土)田中彰個展「旅する木」を開催いたします。
樹は動かない。けれどもこの作家が関わることで様々にその姿を変え、あちこちへ旅していく。その過程で作品が産み落とされる。それを見てみたいと思った。しかし作家が私たちに示したのは、樹も生きて旅していること、彼はそれに同行し、手を貸しているということだった。美術を前提にすると忘れてしまうことがある。彼はいつもそれを思い出させてくれるのだ。
1988年岐阜県生まれ。2015年武蔵野美術大学大学院版画コース修了。主な個展に三菱一号館美術館歴史資料室(2016)、東京オペラシティアートギャラリーコリドール(2017)、岐阜県美術館アーティストインミュージアム(2017)等、インスタレーションを含む版画の領域にとらわれない作品を発表し続けています。
岐阜県美術館 アーティストインミュージアム展示風景
田中彰は木版技術を作品の一部として用い、版木としての木の存在を際立たせるプリミティブな作品を発表してきました。壁画のように木や皮に刻み込まれる昆虫や鳥などは、この世に樹木と共に生息する生物と人、自然との繋がりを感じさせます。
またアーティストであると同時に、コーヒー豆の自家焙煎にも力を入れ、旅を通して生豆から仕入れ、それは彼の作品つくりにも繋がっています。今回の展覧会のテーマ「旅する木」では、彼のライフワークともいえる旅と、コーヒー豆をめぐる歴史と事象の裏に存在するストーリーを語ります。
2015年に焙煎機を手に入れたことがきっかけで、コーヒー豆を焙煎し始めたら、想像とすべてが違った。豆の種類によって温度や時間が違うとか、それで味や香りが変わったり、自分も手順を変えなきゃいけない。豆の良さを引き出すためにアプローチを変えていくみたいな、その辺がやって気づいたことで、版画と同じだと思ったんです。工程が最終的なものになるというプロセスが似ているから、これはやれると思った。やったことがないことじゃないなって、焙煎してその豆の良さを引き出すみたいなのは、今までずっとやってるじゃん、って思ったんです。(田中彰)―エウレカ・プロジェクト、数理学者の澤宏司氏との対談よりー
コーヒーの木
今回の展覧会の為、彼はインドネシアに渡り、コーヒーの歴史と広がりを調べる旅をしてきました。コーヒー農園を多数訪問、そして現在のインドネシアの若者に広がるコーヒー文化を街に30軒にものぼるカフェをまわって体感してきました。
⼝に含んだコーヒーの実際の⽣産地(ローカルカフェ、農園)を訪ねる、コーヒー⾖⽣産国のコーヒー事情
コーヒー⾖は移動し続ける⽊である。その⽊が⽣まれる国へ⾏き、関係する⼈たちに会いに⾏った。ジョグジャカルタは4 年前に数店しかなかったコーヒー専⾨店が現在、100 店ほどあり、その中からこだわりの強いお店を30 箇所ほど周った。そこには⽇本のコーヒー⽂化とは違い、活気に溢れ、浅煎りのコーヒーと酸味の強いカプチーノがたくさんあった。
⼭そのものが農園になっていて美しく、その⼤地のエネルギーを吸収したものが、収穫、⽔洗、乾燥、運搬、焙煎され⼀杯のコーヒーになって、いろいろな国の⼈の机に現れる。(⽥中彰)
ものが変化していく時間について ⽤途を離れて⾃由になるまで洞窟やお寺、古墳、教会などの壁に描かれた絵が時間を経て、キャンバスに代わり、いまや美術館やギャラリーに展⽰されています。版画や写真などの印刷はお経やグーデンベルグの活版印刷に始まり、今ではアートになっています。
コースターは飲み物の受け⽫として、商品の宣伝や⽔滴を受け⽌め、そのお店のロゴや飲み物のロゴなどが印刷されていますが、もしコースターが作品化するとしたら、多くの時間を経る必要があります。
今回の展⽰では、コースターがコースターでなくなり、作品に転化するため必要な時間を、素材を代えひとつひとつ⼿で描く事によって本来の既製の機能を残したまま拡張することで得ています。
展覧会では、栃⽊⾰をなめされたものを⽀持体に、電気ペンで描いた「場所の記憶を含んだ絵」を中⼼に、版画をふくめ約100 点の作品を展⽰いたします。
トークイベントでは、⽥中が今回の旅で仕⼊れてきた、⽇本では飲めない貴重なコーヒーを皆様にお出しします。