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Gallery YUKI-SIS LABOでは、8月18日より小川泰生展 「深い水脈を探すように」を開催致します。
小川泰生は1968年佐賀生まれ。1994年多摩美術大学卒業後、2007年文化庁「新進芸術家海外留学制度」でブラジル滞在。ブラジルからの帰国後の現在もブラジルと日本の交流展などにも積極的に参加しています。
小川泰生作品は、キャンドル製作の原料ともなるパラフィンワックスを表面に使用した平面作品で、柔らかく、流れるような色彩が半透明の膜の内面で浮遊しているような印象を受けます。
とくに何かをモチーフとしているのではなく、ただ、生命の神秘や、今は無くしてしまったけれど、太古に私たちが持ちえてきたであろう動物的な感覚を意識して制作をしているといいます。
目をつむり、太陽のほうを向いたときに見える光。私たちの体内のどこかに眠る感覚を、どこか懐かしいような気持ちとともに呼び起こしてくれるそんな作品です。
小川泰生 個展「深い水脈をさがすように」
いつだったか、ただただぼんやりと夜空を見上げ月を眺めていた時のこと。小刻みに進む秒針のような時の流れが少しずつ緩やかなものに変化していく。ゆっくりと様々なイメージが膨らんでいく中で、自然界に存在する微小な生き物としての自分を確認したことがあった。近くで鳴いている虫や足元の植物と同列に存在する動物で、自然に属している、という妙にリアルな感覚がふっと入ってきた。理屈では分っていたことだが、それは妙に実感めいていて安堵感のようなものだった。
その頃からか、人間の中にある動物的感覚というものに興味を持つようになった。現代生活に慣らされてしまったために表に出てくる術を失い、奥深くにうずくまっている野生を生きていた頃の感覚、言い換えれば人間に進化してきた過去を受け継いでいるはずの感覚と言えるだろうか。それは、せわしく過ぎていく情報過多の現代生活の中では退化しているかもしれないが、今だからこそ人間が人間という生き物(動物)らしくあるために必要なものに思えてくる。
人間の中に潜在するそういった感覚、またはその感覚を通して得られるものをイメージし、形にしてきたのがパラフィンワックスを用いた平面作品のシリーズだ。今回の展示ではその延長となる作品を発表する。近年インスピレーションを受けているアニミズムや先住民文化・哲学の影響も作品に変化を加えてきている。
最近、制作中にふと思ったことがある。それは自分にとっての制作とは地中深くにある水脈を探す行為に似ているな、ということ。人間を大地、動物的感覚を水脈に置き換えてイメージすると妙にしっくりくるところがあった。奥深くに流れているだろうその存在を探すような、そしてその水を掬い上げるような制作という行為に強く惹かれているところだ。
小川 泰生
展示写真撮影:宇宙大使☆スター