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新藤杏子 個展 -光・闇・光-
Solo Exhibition by Kyoko SHINDO -light・darkness・light-
YUKI-SIS では、11 月14 日(土)-28 日(土)新藤杏子個展「光・闇・光」を開催いたします。
昨年の個展より、今まで描いていてきた水彩という素材に加えて、油彩、アクリルでの表現を開始した新藤杏子。
水彩で描ける軽やかさ、油彩、アクリルで描ける心理表現、深み、情景。彼女のフィルターを通して、描きたいエモーショナルな瞬間を新しい素材で表現しています。
今回の展覧会のテーマは、「闇・光・闇」(英題:Darkness, Light, Darkness)。
これは、彼女が敬愛する、チェコのアニメーション作家、映像作家、映画監督のヤン・シュヴァンクマイエルの1989 年の作品のタイトルからとったものです。
闇の中から、小さな小部屋に肉体のパーツ、臓器がひとつずつ現れ、そして繋がり、一つの人格をもった人間が誕生する様を描いたこのアニメーション作品は、どこかユニークでありながら、当たり前のように動く人間の体のつくりや、機能、繋がりが、どのように誕生するのかの神秘について、あらためて考えさせてくれます。
新藤杏子の描く、闇=体内の世界。ぜひご覧いただけたらと思います。
Inside the body
2015
Charcoal
Head 01
2015
Charcoal
In the wilderness
2015
Acrylic on Canvas
Artist note
私は、生き物をモチーフとして作品を描き続けています。
その対象は現実には存在しないものであったり、自らが関わった人や生き物を描いたりと、
想像と現実の行き来を通して生き物の根源的な営みを画面に
示唆するような表現ができないかと模索していました。
そのなかで、昨年から油彩を扱うようになって以来、筆の運びや絵の具の動きが
生き物の内臓そのものを描いているような感触を覚え、作品を作り重ねるごとに、
その感覚は強くなってきました。
それは暗闇の中で内臓を触っているような感覚で、そのことが「闇」について考えを巡らせるきっかけになったのです。
体内は目視することができない暗闇です。
そのなかで生き物の意志とは関係なく絶え間なく心臓は動き、胃は食べ物を消化し、
腸はぜんどう運動を行っています。
光は、生き物の体表を照らし、客観的な輪郭を明らかにします。その影に隠れて生き物の体内は見られることなく、
グロテスクであろうが御構い無しに絶え間なく動き続けているのです。
光が全くない夜に外を見たとき、目を瞑った時、眠った時、
闇のなかで一体何が執り行われているのでしょうか。
自分の体が自分のものでないような感覚に陥ったことはないでしょうか?
「闇」を体内に見立て、そこから想像する生き物のいとなみや、
体内という謎めいていてグロテスクな生命体の美しさを表現できればと考えています。
新藤杏子