〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル2B >> MAP
Phone : 03-5542-1669
Open : Tue.-Sat. 12:00-19:00 日曜・月曜・祭日 休廊 Closed on Sun., Mon., National Holiday
Koura Bldg. Ⅰ-2B, 1-1-6, Nihombashi Kayabacho, Chuoh-ku, Tokyo 103-0025, JAPAN
phone : +81(0)3 5542 1669 e-mail : info@yuki-sis.com http://yuki-sis.com
Solo Exhibition by Hitoshi Tsuboyama
YUKI-SIS では、12月10日(土)-24日(土)坪山 斉個展「ローレゾリアリズム」を開催いたします。
坪山斉は1981年宮城県生まれ。2010年東京藝術大学大学院美術研究科油画技法材料第一研究室修了。現在は福岡県にて作家活動を行っています。
卒業後もトーキョーワンダーウォールなど、精力的に発表。2013年にはTAGBOAT主催の「タグボートアートフェス」にて圧倒的な実力の差でグランプリを受賞。その後台湾、韓国、アメリカ、ベルギーなどのアートフェアに出品。今もっとも勢いのある若手作家です。
今回の展覧会タイトルは「ローレゾリアリズム」。
坪山は、等高線を描くように対象の像を捉え描く手法をとっています。その結果、鑑賞者が作品に近づくと作品は抽象画の様に見え、距離をとると立体感が際立つ絵画です。
今回の展覧会では、絵画におけるニュートラリズム-宗教や哲学、風土を含めた文化・文明の違いにより生まれる西洋と東洋の「空間性」の違いを融合させ、同じキャンバスに存在させる新しい試みを見せてくれます。
120号、100号スクエアの大作を含め、約10点の新作が展示されます。
Artist note
ローレゾリアリズム (low resolution realism)とは
本来、絵画におけるリアリズムは解像度を限りなく上げることで対象へと迫る手法であるが、あえて解像度を下げることで鑑賞者の脳内での補完・補正を促す。リアルを客体として捉え、それを可能にする色彩と形態を創り出すことで、独自のリアリズムを追求している。同時に、その画面は鑑賞者が身体的に近接するにつれて抽象的な平面性を帯びる。立体性と平面性を往来する中で、ニュートラルな領域からの新たな視点をる。
九の目と黒い枠 Nine eyes and black frame
2016
162.0 x 162.0 cm
アクリル、キャンバス
絵画 / 絵画におけるニュートラリズム
作品を制作する上で、「絵画にてきることとは何か?なんのために絵画をやっているのか?」という 問題か常に私の根幹に位置し、その問いに対する回答を含んだ一つのビジョンを、カンバスへと投影している。急速に、そして極めて複雑に発展・流動する社会的現実を背景に、その表現においても 多様化し続ける現代において、絵画作品によって明確で強度を持ったオリジナリティを表出させることは困難とも言える。しかしだからこそ、そこに向き合い大きなビジョンを明示することは、価値観の転換を促し、あるいは新しい価値を生み出す可能性を大いに含んでいる。
その歴史上、宗教や哲学、風土を含めた文化・文明と密接な関わりを持つが故に、絵画もまた必然的に、 洋の東西においてまったく異なった進化を遂げてきた。その中でも最たる違いの一つは、空間性である。 西洋では立体的に描かれ、対して東洋では(特に日本では)平面的に描かれてきた。異なる自然環境や文化によってそれぞれの対象の捉え方が発達し、それをアウトプットした結果が、+(プラス)と -(マイナス)の如く、実に対照的に存在している。私は私の作品において、立体的・平面的の二つの空間性を融合させ、0(ニュートラル)な空間性へとアプローチを試みる。これは独自の絵画表現としての概念であり、一つの提言でもある。私はここに、「絵画におけるニュートラリズム」を標榜する。
私は等高線を描くように対象の立体を捉え、一つ一つの色面として創り上げる。それは無から積み上げていく作業であり、絵画の基礎とも言われる西洋的な陰影法に基づくデッサンそのものと言える。一方で、凹凸を色面へと変換する過程で、対象の持つ特徴など個性と呼べるものをできる限り消していく。言い換えれば、絵画言語によって個性や表情を認識できるところまで言及しない。それは物質から観念的に自由になる、東洋的な価値観に基づく行為である。この二極の相を画面に定着させることで作品に多くの普遍性を与え、抽象化する手続きがとられることとなる。
その画面は、鑑賞者が身体的に近接するにつれて徐々に立体性を失い、その色面の連なりに抽象的な平面性を帯びる。鑑賞者の意識は立体性と平面性を往来する中で、次第にニュートラルな領域へと向かうのではないか。ものの存在と本質の多様性について、ニュートラルな領域から意識を巡らせる新たな視点の獲得。これこそが、絵画におけるニュートラリズムの本旨となる理念である。
坪山 斉
「目」
2016
91.0x91.0 cm (30S)
アクリル、キャンバス