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清家正信 個展 「墨花」

 

Solo Exhibition by Masanobu Seike

清家正信 個展 「墨花」

 

会  期

2019年11月16日(土)~11月30日(土)
12:00~19:00

日・月休廊 ★11/23(土祝)は開廊 Closed on Sunday, Monday    Opened on Nov. 23

 


 

YUKI-SIS では、1116日(土)-30日(土)清家正信個展 「墨花」を開催致します。

 

映画、写真、コマーシャルフィルムなど、幅広い分野で活躍するカメラマン・写真家の清家正信は、彼のライフワークとして花、

そして人のポートレート写真を撮り続けています。 YUKI-SISでは3回目の個展となります。

 

清家正信

 

 

今回の展覧会のテーマは「墨花」。

 

「墨の匂いは、どこかエロティックで好きだ」と話す清家正信。

印画紙に現像された写真が過去の一瞬の記憶とするならば、和紙に書かれた「書」は、過去を生きているものではなく、今を生きている感覚がするといいます。

ここ数年、清家はプラチナプリントという現像方法にこだわり、試行錯誤を続けてきました。古代現像技法のひとつであるプラチナプリントは、プラチナの入った溶液を紙に刷毛で実際に塗り、印画紙を自分で作るところから始まります。ブラシを使うその作業は、絵画を描くような行為にも似ていると清家は言います。また、極薄の土佐白金紙を洗浄しているときには、まるで和紙を漉いているような感覚に陥るそう。昨今のデジタル写真のクリーンで手軽な感覚、簡単にエデットできる作風よりも、「手を汚しながら作る」という行為そのものが、ひとつひとつの作業と工夫に意味を持ち、彼の独特のスタイルを生み出します。比較的安定感のある「西洋紙」よりも、いろいろな種類があり個性の異なる「和紙」を選ぶことも、作家の観ている世界感に近い、色のトーンが浮き上がってくるからでしょうか。

 

 

seike

 

 

今回の展覧会では、「墨」というキーワードを基に花の写真を展開します。墨がもつグレートーンの幅広さ、詩的な世界感は、黒にこだわる清家がプラチナプリントで表現したい「生きた感覚」に近いものなのかもしれません。愛情ある眼差しと作業工程により写真に写った花に再び命を吹きかけ、それが生き返る様を紙に写し取り、表現する行為に他なりません。それは、「生の証」ともいえます。

 

皆様のご来廊を心よりお待ち申し上げております。

 

 

清家正信

 

 

 

Artist Note

 

なぜ墨花なのかというと

墨という字がただ好きということもあるが、

墨の匂いが僕にはエロティックな感じがするのも

好きな理由だ。

友人やまわりの人たちに書家が多く、

その影響か一時期ちょっとばかり筆を持ったが

今はもう書いてはいない。

ただ墨のいろが頭から離れなかったのだろう、

いろんな人の写真を見ても何かが気に入らない。

よくわからないまま、自分のプリントを

洋紙から和紙に変えてみた。ある和紙を使って見たら、

刷毛で塗る溶液が吸い付いていった。

高額な溶液なので気が気でない。

しかもこの紙は非常に薄く現像、洗浄その工程に

とても注意を要する。しかも高い、つまり

とてもお金と手間がかかる。

それなりに経験しやっと作品らしきプリントの出来上がりを見て、

インクジェットや銀塩プリントで物足らない理由がわかった。

黒が胸に飛び込んでこないと自分の心を揺さぶらなかったのだ。

その黒は紙に吸い寄せられた紙の質感とともに生きてる気がした。

書を見たときの感覚に近いとも思い、

題字に墨という字を入れた。

 

 

 

 

清家正信