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Solo Exhibition by Hiroko Tsuchida “Kai”
土田泰子 個展 Kai
YUKI-SIS では、2019年9月21日(土)-10月5日(土)土田泰子個展 「Kai」を開催いたします。
1985年福井県生まれ。2008年名古屋芸術大学メタル&ジュエリーコース卒業。同年、フランス、パリCite International des Arts(国際芸術村)滞在。
現在、欧米を中心に数多くのアートフェアに参加。YUKI-SISでは5回目の個展となります。
2018年12月〜2019年4月には、神奈川県平塚市美術館にて土田泰子個展を開催、NHKEテレ、日曜美術館でもこの展覧会は特集され、平塚市美術館ロビー展では最多の動員数を更新しました。
平塚美術館展示風景
徹底的に考え抜かれたコンセプトをもとに、生活の中に存在する素材を吟味し、作品として成立するまで連動させ、美へと昇華させるコンセプチャルアート。土田の生きる姿勢や哲学をもとに語られるスケール感のある作品は、彼女の精神的な成長にあわせて変化していきます。
今回の展覧会のテーマは「Kai」。様々な「Kai」の意味を作品に込め、新たな土田泰子の世界を見せてくれることでしょう。
【Artist Note】
「Kai」
「カイ」という中に様々な意味がありながら、
不思議なほど今の私の中で沸き起こる言葉。
第二の人生が始まり、全く新しい日々を生きる中、私の新しい戦いの渦中に巻き起こる葛藤。
私の中の破壊と再構築を目まぐるしく繰り返す。
人間としての成長期。成長痛は幸福と未来への希望の証。
失敗を積み重ね、今巡る変革のチャンスから、今よりも良い地盤を作り出す。
私はより厳しく自身と向き合いながら、新しい自分を見出す。
変わらずにいることと変わっていくこと。自分で考え選び向き合っていく。
私や私の環境の変化は加速するだろう。
変化を味わい尽くし、
今までの私に足りなかったものを決意をもって取り込み、
色を深めることに躊躇いはない。
ここから更なる成長と人生の輝きを見出すことを信じて。
土田泰子
シタタカミモク 素材:鉛筆削り
成したい夢を描く為に
適切な様に身を削る
加減しながら少しずつ削いで鋭くしていく。
貝のように静かに黙々と、
でも確かに、
強かに、
私は私と向き合いながら歩んでいく。
あがきからあがくから 31×33×34(cm) 素材:真鍮brass
(((サイズの意味:31歳で結婚に向けた覚悟と変化、33歳で結婚、34歳で事実上の結婚生活開始→足掻く現在)))
足掻く:活路を見出そうとして必死になって努力すること。
安全ピンは努力の象徴。
他者に針をむけるのではなく、ウチに秘め、留めるもの。
真鍮は欲望の象徴。
磨けば金のように輝き、放置すれば錆びつく。
つまり真鍮の安全ピンとは、欲望ギラギラの努力の象徴。
欲が強すぎる努力はぐるぐると時に空回る。しかし、だからこそ細胞が本能に自然ととけ込んでいく。
リアルだからこそループする感情。
その中に確かに芽生え始めた結晶。
交錯する努力の帯。もどかしい。
その中で一点すべてのラインと交わっているところがあることに気づく。
そこが膨れ上がって丸い玉になっていく。
自分が何がしたくて、どうすべきなのか。
考え足掻き行動しながら、自分が真に求める一点を見いだし、希望と成長を生み出す。
THAN ~Hug & The painful process of growing up~ 20×20×20(cm) 素材:カッター刃/ネオジオ磁石/金属パテ
ハグは癒しのカタチではあるが、そのものは決して癒しのみのものではない。
大切なものに寄り添うと、相手のことも自分のこともよくわかる。
そして触れ合うものが大切だからこそ痛覚に触れ、傷つくことができる。
そうでも無いものからは何も受けず、一人でいても何も受けることはない。
私は外側から受ける傷の痛みよりもそのモノの中にある温もりを抱きしめることを選ぶ。
私にとって何かに触れて傷つくことは山ほどある。
自分の欠点やトラウマ、個性にコンプレックスを抱えているからだ。
自身のささくれ立っているコンプレックスはより傷をつけやすく、
傷つけば痛いという感覚も当然もっている。
ただ、触れ合うと痛みがある可能性をわかっていても、
それ以上に癒しや愛情を感じ得ることは自分にとって重要なことであり、価値のあること。
人間であることの醍醐味とさえいえるこの痛みは、
私を包み込み安らぎをあたえてくれながら成長させてくれるから。
自分の為だけに自分を変えることは難しい。
本当の意味での気づきはなく、決意も脆い。
大切なモノの為なら強くなれる。
刃の存在は、数やカタチに個人差はあるが、誰でも持っているもので、
寄り添うものから私への攻撃を示すものではなく、
お互いの触れ合う角度や速度、タイミングによって刃が趣を変える。
ただ、関係性が深まり、寄り添えば寄り添うほどに、
通り過ぎる一瞬の痛みや、その瞬間気づかないほどの小さな痛みさえ、鋭く深く積み重なっていく。
痛みが強ければ、自ずと治すことや傷を増やさない術を学ぶことができる。
傷が気づかせ絆を築く。
その刃は人を傷つける為のものではなく、創造する為の刃なのだから。