作品 Work
略歴 Biography
展覧会 Exhitions
作家ステートメント Texts
プレスリリース Release
戻る return
JAPANESE
アーティストステートメント
土ヶ端 大介

生き物や人工物が朽ち果ててゆく時に見せる美しさをテーマに制作している。

それは形あるものが次の命に還元されて行くことを感じさせてくれる。

素材のメインにはパンティーストッキングを使っており、 和紙とパンティーストッキングの対比が魅せる表情や伝統的なものと既製品の対比に面白さに魅力を感じている。 パンティーストッキングは伝線させることで、他の画材では表せない模様ができたり、引っ張ったり、たわませたり、時には破ることにより、様々な表情が表現できる。 また、形の面でも引っ張ることにより曲線やほころび等、独特なフォルムが形成されるところに魅力を感じていた。僕の中でそれが物が朽ちる時に魅せる表情とリンクする。


3.11後、絵が描けなくなった時期があり、描いても制作のコンセプトがブレてしまっていた。

一つの原因としては、一瞬にして多くの命が失われ、僕の考える命のサイクルというもののキャパシティーを超えてしまった事。

二つ目は、最近気づいたというか考えないようそのことから逃げていたのだと思うが、それは放射能に対する死への恐怖。

よく、煙草はスローモーションの自殺だなんていわれるが、もっと、目には見えない死の宣告でもされたかのように、僕の目から見ている世界がジャンクでチープで無意味なものに感じるようになってしまっていた。

とても自分勝手な事だが、人間が食べるために栽培したり、漁をして獲った食物も放射能が検出されれば廃棄されるし、実際、僕もスーパーマーケットで買い物するとき産地を確認し、買い控えることもある。

命を奪い、それを糧に生きていることに素直に感謝できなくなっていた。

まだ時間は沢山かかると思うし、僕自身、今は沢山の生命や物質という存在の中の、人としての目線で物事を捉えるのが精一杯だが、心から「頂きます」が言えるよう、死というものを改めて見つめなおし、いつかは自然な命の還元、生命の循環が戻って来る事を願って絵を描いていきたい。