僕の絵画世界の中心にはいつもある風景がある。
そしてその風景を取り囲み、見つめる人たちがいる。
さらにその周りに風景がある。
そうして風景と人は波紋状に広がりを見せる。
中心の風景はある事象が起きた結果として存在している。
人がある事実に直面したとき、その表情は喜怒哀楽と様々だ。その目は人物のある側面を雄弁に語る。
一方で、喜びとも怒りともとれないおよそ感情を窺い知ることの出来ない顔がある。
次の言葉を待たなければいけないような表情がある。
その瞬間には幾つかの可能性が混在し、少しの緊張とリスクが浮かんでは消える。
登場する人物たちは皆そんな顔で、さながら役者のように佇んでいる。
誰もが持つその不安定さに、人の面白さを見る。